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N1は日本で働くのに十分か否か

silhouette of man sitting on grass field at daytime

空気読めてますか?(自然の中からお尋ねします)

Redit(アメリカの2ちゃんねる)をみていると日本語能力試験1級があれば日本で働くことができるか?という議論が盛んに行われていた。自分の経験を元にもし回答するなら、「N1は日本で働くためのスタートラインであり、ゴールではない」と答えるかもしれない。そんな日本語の試験の最高位を取ったとしてもそれがスタートラインでしかない理由について今日は話したいと思う。

日本語能力検定はアカデミックな環境における日本語能力を確認するテスト

 よく勘違いすることだが、言語の資格さえ取っておけばどんなことにも対応できる外国語能力が手に入ると思うのは間違いだ。むしろそれぞれの資格には「このシチュエーションにおける外国語能力を測る」といったユースケースが設定されている。

 例えば英語資格のTOEICはビジネス向けの英語能力を測るテストだが、TOEFLはよりアカデミック向けの試験になっており、英語圏大学への留学の指標に利用されるのは後者である。仮にTOEICが完璧になっても語彙的な問題でアカデミック環境ではその英語能力は十分に発揮されない可能性があるのだ。さてこれを日本語を使う外国人のケースで考えたらどうなるのか。

 例えば私が大学時代学んでいた歴史学科の世界は論理的な思考をもって、相手を的確に批判できれば良い評価が与えられる。であるならば外国人にとっても言語の壁さえ超えれば日本人と伍して戦うことができる。論理性には文化的違いはあまり介在しないからだ。

 ところがこれがビジネスになると話が変わってくる。買うか買わないか迷っている客に向かって、

あなた何を言ってるんですか!弊社の商品はこの点とこの点において他社製品に劣っているので他社製品を買ったほうがいいです!

 なんてことを言えば後で上司から大目玉を食らうだろう。論理性だけでまかり通っていないから職場における日本語というのは厄介なのだ。

 このように様々な状況によって求められる日本語能力は異なるわけだが、日本語能力検定によって測られているのはアカデミックな環境における日本語能力であるので取得した資格をいかんなく発揮できる場所は大学などであり、魑魅魍魎が跋扈しているビジネス環境ではない。

two ghosts standing in front of a brick wall
よくこんな顧客がいますよ・・・え?いない?

 だから私はN1とは日本社会で言葉を使うビジネスマンになるための登竜門であり、ゴールではないと言ったのだ。

 では日本で働くために必要とされる日本語能力とはなんだろうか。それこそ、日本文化の中で最も難しい「空気を読む」能力である。

空気を読む

 空気を読む能力とは、あるシチュエーションにおいて相手が考えていることを予想し、それに合わせて適切な反応をすることである。例えばあなたのボスが「うぅん、いいアイデアだね」といったら、あなたはこれまでの経験からボスの真意を察しなければいけない。ジェスチャーはどうか?表情はどうか?声のトーンは高いか?低いか?などから総合的に判断しボスが明言しなくても結論を理解して動く能力が必要とされているのである。

man wearing black crew neck shirt reading book

*なおこの技術は忖度として社会問題にもなっている。

 思うに日本ではこの能力が高い人ほど出世している傾向がある。しかしながら文化的に空気を読むトレーニングをしていない外国人にとっては、これは逆にストレスの元である。ある人によっては空気を読む重要性が理解できないので自分が適正に評価されていないと不満をためることになるだろう。実際のところゲームルールが異なる国にいるのだからそのゲームルールでプレイすべきなのだが。

 ただし、このレベルの高等なコミュニケーション能力は往々にして日本人も持ち合わせていない場合が多い。事実毎年多くの就活生がそれで面接を失敗するわけだからもし私の記事の読者が外国人(あなただ)としてもそれほど気に病む必要はないと思う。

 しかし、高等テクニックにも関わらず、本屋に行って「空気を読めるようになる本」なるものを買うこともできないのが現実だ。そのため相手の性格を予想し、その結果どんな行動をしたら良いのかは実践の中で学ぶしかない。おっとこれを読んでいる外国人のあなた、もう国に帰ろうとしてる?待ってほしい。

 さてここでポジティブに考えて見る必要があるだろう。例えばもしあなたが「空気を読める」レベルの日本語を習得した場合、あなたは日本でまさにダイヤモンドのような価値を持つビジネスマンになることができる。もし国際貿易などに関する仕事をするならあなたは会社の中で尊敬される人間になれるだろう。外国において尊敬というのは心の栄養である。これがないとなかなか生きていくのが辛い。だから諦めずにチャレンジするのも大事だと思う。難しい能力だからこそ価値があるのだ。 

 では最後にこの日本人とのコミュニケーション能力を働く前から身につけることができる方法を伝えたいと思う。それは日本の学校に進学することだ。日本語学校ではない、日本の学校、つまり大学か大学院に行くことである。

 さらに助言するとこの時なるべく交換留学生になるべきではない。なぜなら日本の大学は日本語のわからない外国人の学生を上手に管理するために外国人用の寮に入寮させたり、外国人用のクラスに通わせるからである。こうすると生の日本人と話す機会が奪われ、先程説明した技術を磨く時間と場所を得られない。だから私は日本人と同じ立場で勉強することができる大学や大学院のコースに行くことが重要であると主張しているのである。

 淡々と説明しておきながらこれは決して簡単な道ではないことも分かっている。道半ばではうまく察せないために苦労したり、恥ずかしい思いもするだろう。しかし、その苦労は日本で働き始めた時非常に役立つはずだ。仕事を初めてから失敗すると会社での評価に傷がつくが、学生の間に失敗してもなんの実害もない。だからこそどんどん失敗し、そして日本人の「空気を読む」能力を身につければいいと思う。

 最後にここはアジアだ。欧州ではない。スペイン語や英語を話す西洋文化の世界ではない。だからあなた達は現地人である私たちより多くの努力が必要になる。しかしその先に他の西洋人が見ることのできない面白い景色が広がっているかもしれない。

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