生活

アメリカのアジア人差別問題について日本人が他人事だと思ってる理由

diverse women talking during coffee break at table

コロナウィルスの流行が始まってから今世界中でアジア人差別が過激になってきている。その標的となっているのはトランプ元大統領から「チャイナウィルス」と名指しで批判された中国人または中国系アメリカ人だけではなく、我々日本人もだ。

しかし、こと日本国内においてこの差別
問題は他人事の領域を出ない。

一体なぜ日本人は外国で差別の被害に合っている日本人や他のアジア人に対して行動を起こそうとしないのか。今日はその理由を日本に住む日本人という視点から説明しようと思う。そしてこの理由を知れば日本社会の底に溜まったドロッとした本心にも触れることが出来るだろう。

これは中国人の問題だと思っている

日本のニュースでも「アジアンヘイトクライム」の話題は非常に話題になっているが多くのメディアは「アジア系アメリカ人が被害にあっています」と報道するばかりだ。

つまり、この問題は日本人・日系人は
無関係だと思っているのである

日本人の数人とこの話題について話したことがあるが、彼らが口々に語った台詞がこの問題にたいしていかに日本社会が他人事かということがわかるだろう。

「日本人も被害にあっているようだけど、それは中国人だと間違えられたからだ。私は日本人だと言えば差別されることはないと思っているよ。」

「きっと差別主義者の人達は中国人を標的にしたんだ。日本は西洋諸国に好かれているからそんな差別に合うはずがないよ。」

残念ながら日本人の予想は的外れだ。アメリカやヨーロッパに住む多くの人が日本がどこにあるかを知らないし、日本は中国の一地域だと思っている人もいる。ついでに言えばアニメやトヨタの車は好きでも本当の日本の事を好きな人は多くない。つまり、日本人は実態よりも自分達日本人は世界に知られているし、好かれていると思ってしまっているのである。

この「日本は他のアジアの国と比べて別格だ」という意識の事を私は「名誉白人症候群」と呼んでいる。昔アパルトヘイト時代の南アフリカで経済力があった日本は白人と同じ待遇を受けられた。それを誇りにする日本人がいるので皮肉的にこの単語を使っているのだ。

だが、差別は容赦なく日本人にも影響を及ぼしている。これが日本人の問題ではないと思ったら大間違いなのだ。実例を見てみよう

ケース①:ロサンゼルスの寺で放火

例えばアメリカ、ロサンゼルスにある日系人向けの寺がヘイトクライムによって放火された。歴史のある本願寺派の寺がこのように放火されてもまだ「日本人はこの問題に無関係だ」と言えるだろうか?残念ながらそんなことはない。

詳しく状況を知りたい人はこの動画を見ることをおススメする。

ケース②:ニューヨークでプロのジャズピアニストが腕を折られる

2020年9月27日、ニューヨークの地下鉄を利用していたプロのジャズピアニストである海野氏が8人から言いがかりをつけられて暴行された。結果として彼は腕を折られ、ピアノも触れない状態になった。

どうやら現地の悪ガキに憂さ晴らしで暴行されたようだが、彼がアジア人であったことが理由の一つだとされている。

現在も治療を続けている彼だが、妻は「もう一人子供が増えたようだ」とメディアにつぶやいた。ヘイトクライムは確実に一人の天才の夢を潰したと言えるのである。

このように既にアジア人を標的にしたヘイトクライムは中国人だけを標的にしたものではなく、日本人や韓国人その他のアジア人にまで及ぶようになっている。日本にいる日本人たちが「私は日本人だ」と言えば犯罪者が狙わないでくれると思うのはやはり大間違いなのだ。

しかし、それでもこの問題に対して日本の社会はどこか他人事だ。それは根本的に日本人が持つゆがんだプライドが原因になっているかもしれない。

日本人は自分たちの事を「名誉白人」と捉えているのである。

日本人はアジア人ではないと考える日本人達

実は日本人の心の奥には「自分たちは他のアジア人とは異なって優秀だ」というゆがんだプライドが潜んでいる。この根拠はこれまでアジアNo1を誇っていた経済力にある。

日本と韓国、中国、インドのGDPを半世紀にわたり比較してみたら、日本の意外な実情が見えてきた|FINDERS

日本がアジアの中で強力な経済力を持っていたのは事実だ。例えば1978年のGDPをアジア各国と比較すると日本の経済は中国の4‐5倍の規模を持っていたことがわかる。

そしてこの経済力は実際日本人を「名誉白人」として扱う国まで生んだ。

その国こそアパルトヘイト時代の南アフリカである。当時日本と貿易を盛んに行っていた南アフリカは日本との対立を避けるべく、有色人種の多くに対して差別的な扱いをしていたにもかかわらず、日本人は「名誉白人」として扱ったのである。

皮肉なことに日本人はアジア人であるにも関わらず「白人」になれたことをとても喜んだ。それは「白人」としてみなされることが日本よりも先進的であると考えられていた欧州の国々やアメリカに認められることだと考えていたからだ。

このような日本人の態度から日本社会の「欧州コンプレックス」を感じてもらうことが出来るだろう。そしてこのコンプレックスを持っているから、「名誉白人」の日本人は中国人や韓国人を助けなくてもよいのだ、という考えを生むのである。

また実際海外旅行をした際に「お前は中国人か?」と言われて「日本人だ」と答えると「中国人は嫌いだが、日本人は好きだ」と言われたという経験を持つ日本人はとても多い。このため日本人の中に「日本人は世界の人達に好かれているのだから自分達が差別の対象になるはずがない」という間違った認識が植え付けられていくのである。

しかし、そんなことはない。ただ日本人が「世界中の人が日本を知っているはずで、日本を好きなはずだ」と思いたいだけなのだ。

多くの日本人もまた世界を知らない

ヘイトクライムを行う犯人たちは多くが無教養で世界の事を知らない。逆に言えばほとんどのアメリカ人は善良だということを私は知っている。だからこそこの問題の本質的な原因は無教養と貧困にあるという意見に私も賛成である。しかし、日本人も同じくらい世界の事について無知である。事実多くの日本人は世界の人々は皆日本の事を知っていると思いこんでしまっている。

さて、どうして多くの日本人はこのような壮大な勘違いをしてしまうのだろうか。インターネットがある時代、外国人の意見を読むことが出来れば世界中の人にとって日本はとても不思議だが縁遠い国であることがわかるはずだ。

これは日本人が日本語しかわからない人が多いから
起きる現象だ。

正確に言うと日本人のほとんどは英語や他の外国語で情報を入手することができない。英語能力が低いから外国人とコミュニケーションも取れないし、日本語のメディアからの情報がすべてだと信じてしまうのだ。

さらに悪いことに5年くらい前から日本では外国人に日本を褒め称えさせる番組が増え始めて、日本人の勘違いはさらに加速した。

日本人「自動ドアタクシーを作りました」外国人「!?」日本人「俺また何かやっちゃいましたか?」 : もえるにほん彡(^)(^)

この写真ではチリ人に自動で扉が開くタクシーを見せて、チリ人がどんな反応をするか撮影している。あまりにもオーバーリアクションすぎるし、チリ人の知り合いがいるが彼らもこれくらいのことでこんなに驚かない。つまりただの演技なのだが、これが日本人の保守層に非常に人気なのだ。

実際にオーバーに演技してくれと言われたと発言するYoutuber

私には経済力という唯一のプライドを中国や韓国の発展によって失い始めた日本がナルシズムに酔っているようにしか見えないが、それは多くの日本を知らない外国人の友人がいるからわかることで、日本語しかわからない人たちにはこの番組がまるで真実のように見えるのである。

日本人「自動ドアタクシーを作りました」外国人「!?」日本人「俺また何かやっちゃいましたか?」 : もえるにほん彡(^)(^)

あなたは驚いた時にこんなポーズを毎回取りますか?

このように日本人の多くは日本の外の世界の事について全く知らない。だから外の世界であるアメリカで起きている差別なんてものは自分とは関係ないと思っているのもこの日本人の無関心の大きな理由の一つだ。

日本、この国は確かに経済的には発展したが未だに国際的ではない。そんな事実がこの事件からも理解できるだろうと私は思う。あなたの国ではどうだろうか。意見、コメントをお待ちしています。

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