早速だがこの動画を見て、あなたはこの外国人はなぜ二人の警察官に名前を教えるように尋問されているかわかるだろうか?
答えは警察の荷物検査を拒否したからだ。
今日は恐らく日本に長く住む外国人が経験するこの荷物検査、通称「職質」についてと、なぜ職質の時は警察に逆らってはいけないかについて教えようと思う。でないとあなたは最悪逮捕されるかもしれない。
『職質』、日本の警察のパトロール
日本の警察は「職質」というパトロール行為を行うことを国の法律で認められている。これは道を歩いている人を呼び止め、持っている所持品の検査を行う権利の事だ。日本の警察はこの権利を使って怪しい人をチェックし、薬物や不法滞在者ではないかをチェックしている。
多くの警察官は紳士的に質問をしてくるし、それほど嫌な気持ちにもならないだろう。
ただし問題が2つある
①外見によって職質される場合がある
例えばこのビデオは日本のニュース番組でも有名になった事件の一つだ。ドレッドヘアーをしている日本人をしつこく警察が職質している様子を本人が撮影しているものである。
このように日本の価値観から「麻薬密売人」または「ヤクザ」と認識されやすい恰好をしている場合あなたは職質の対象になる確率が上がる。

ドレッドヘアーだったり

タトゥーが入っていたり

警察の前で怯えているように見えると
警察はあなたを犯罪者の可能性があるか、不法滞在者だと思うかもしれない。理不尽な話だが今の日本で誤解を受けるファッションをすることにメリットはあまりない。そしてあなたの国でいくらタトゥーが普通の文化だとしても日本の警察はあなたを無視してはくれない。それが現実だ。
また外国人は違法滞在者ではないか確認するために執拗に職質を行う場合もある。この時も比較的裕福だとみなされる白人は職質が少なく、違法に労働しているというイメージのある中東系やアジア人は職質の回数が多い。人種差別だと私は思うがそれが通用してしまうのが今の日本社会だ。
②任意の調査だが事実上拒否権はない

この職質は法律によると任意の調査である。そのためあなたが調査に同意しない場合は警察はあなたの荷物を調査できないはずである。しかし、それは原則の話で実態は違う。
最初のビデオを見てみよう。もしあなたが警察に逆らい在留カードを見せなかったり、名前を言わないと絶対に警察はあなたを解放しない。録画を始めれば応援を呼ばれ2人だった警官が5人に増えそして最終的に10人に囲まれることになる。
そしてあなたが同意するまでこのように言われるのだ。
「あなたがもし何の問題もなければ在留カードを見せればいいですよね?なぜ見せないのですか?理由があるのですか?」

だから事実上拒否などできないのだ。あなたができることは「はい」というだけである。
この問題に関して今回私は知り合いの弁護士にどうやれば拒否することが出来るかどうか尋ねてみた。すると答えは弁護士にとっても「事実上不可能」とのことだったのだ。
例えば職務質問された瞬間に電話であなたが個人的に雇っている弁護士に連絡し、警察にこの調査は任意の調査のはずだから拒否権があるはずだと説明させることはできる。
だが、そんなこと現実的だろうか?
正直言って職質のためだけに弁護士を雇うなんて不可能だ。だから弁護士にとっても事実上強制検査だと言っていた。
早く解放されたければ素直に従おう。それ以外に道はない。
「あなた方言話さないね?よそ者?」
職質の問題は決して外国人だけの問題ではない。不愉快な経験自体は私にもある。それは私がある田舎の島に旅行に行った時の話だった。
その島は非常に田舎で近くのコンビニまで30分自転車で走らなければジュースも買えないような場所にホテルがあった。私はホテルで自転車を借り、夜の9時にコンビニに行ってビールを買ったが、出てきたところを警察官二人に呼び止められた。
「すいません、ちょっといいですか?」
「ええ、どうしました?」
「えっ?あぁあなたその言葉この島の人じゃないね。どこから来たの?」
「東京ですけど?」
「東京?なんで東京人がこの島まで来た?何か身分証か何か見せてもらえますか?」
こんな様子で彼らは私の大学の学生証を詳しく調べさらには「こんな大学知らない」とまで言い出したのだ。私は「あなた達おかしいですよ?そんな大学知らないって、あなた達が無知なだけでしょう?荷物チェックをしたいんですか?何なら全てチェックしますか?」と答えると、彼らは当然のように自転車をチェックして、
「なにも問題がないですね。すいません。島の外からくるよそ者は泥棒の事が多いんです」と私に言い放って去っていった。
日本人にもこういうことが起こるなら外国人にはもっとこんなことが起こる。
外国人の立場の弱さ
あなたがこういう経験をすれば少なからずショックを受けるかもしれない。しかし、これが現実であり制度上外国人はあらゆることで日本人よりも立場が弱い。その一つがこの職質の対象になりやすいということである。そしてこの立場の弱さを向上させるのは現状の日本では非常に難しい。
なぜならあなたは日本に住む人間の2%しか占めない
超マイノリティになるからだ。
だから10年後この問題は改善しているかもしれないが明日改善することは絶対にない。明日もどこかで誰かが職質されるし、それが現実なのだ。
あなたは外国に住むそんな現実が見えているだろうか?
正直なところこれは日本だけの問題ではない。世界中で外国人は法的にも経済的にも立場が弱い。しかし、メディアは海外での生活のいい部分だけを見せており、こういった制度的で恒常的なデメリットについて語ることは多くない。
あなたももし日本に来るならよくこの点についても考えるべきだろう。
そして絶対に職質で警察に逆らってはいけない。